子供の遊び方が変わってきた現代では、運動能力や体力の低下が心配されるようになってきました。実際にしゃがめない、片足立ちができないという子が続出しています。
そんな子供の特徴を前回まとめた記事です。↓↓↓
親としては運動能力の高い子に育てたい、スポーツが得意な子に育てたいと思っている人は多いのではないかと思います。そこで近年注目されているのがコーディネーショントレーニングというトレーニング方法です。今回は運動能力向上に最適なコーディネーショントレーニングについて解説していきます。
目次
コーディネーショントレーニングとは?
運動をする時には目や耳などからの情報を脳が処理して、神経回路を通して身体の各部位に指示を出すことによって行われます。よく「あの子は運動神経が良い」と言われるのは、この一連の動作がスムーズに行える状態である事を指します。
コーディネーションという言葉には統合、調整、調和した動きといった複数の意味があります。神経系による運動の調整能力(目的に合わせて身体の動きを総合的にコントロール、調整する能力)をコーディネーション能力といいます。
専門的な話ではわかりにくいと思うので簡単に説明すると、スポーツなどで状況に応じてタイミングよく、バランスよく体の各部位を同時に使っていく能力、体の各部位を効率よく滑らかに動かす能力といった感じです。これらを養うようなトレーニング方法をコーディネーショントレーニングと呼んでいます。
コーディネーションの7つの要素
コーディネーションを形成するには以下の7つの要素が重要となります。
- リズム
- バランス能力
- 変換能力
- 反応能力
- 連結能力
- 空間定位能力
- 識別能力
以下に一つ一つサッカーでの例も交えて説明していきます。
リズム
動きを真似したり、イメージを表現する能力。リズム感よく、動くタイミングを上手くつかむなどといった能力。
例)サッカーでのドリブルやバウンドしたボールをタイミングよく捉える
バランス能力
自分の体勢を正しく保ち、不安定な状態でも体勢を立て直す能力。
例)相手にチャージをされても体勢を立て直す
変換能力
状況の変化に合わせて、予測してすばやく動きを切り替える能力
例)相手や味方の動き出しに合わせてパスやドリブルの軌道を変える
ダッシュから急にストップをする動作
反応能力
外界の情報に対して素早く動作を生み出す能力。合図に素早く反応して、適切に正確な動作で対応する能力。
例)味方の蹴ったパスや相手のシュートに素早く反応して動き出す
連結能力
手足、体幹、頭部の各動作を体全体の動作に組み上げて動かす能力
例)キックの時の脚の力を身体や頭部から連結させる
空間定位能力
空間における位置関係を把握する能力。動いているものと自身の体との距離感や位置関係を把握する能力。
例)相手選手の位置やゴールの位置を把握して適切な位置にボールをトラップする
識別能力
手や足、道具や用具を上手く操作する能力。視覚とボールやハンドルなどの対象物の操作を精密に行う能力
例)ボールリフティングやドリブルテクニックなど
これらの7つの要素は、スポーツの場面で複雑に絡み合っています。サッカーを例に例えると、
- 味方、相手位置を把握しながら走る
- 不利な体勢からバランスをとりボールを蹴る
- ゴールや味方の位置によってパスの強弱を変える
また鉄棒にしても
- 身体と鉄棒の空間位置関係を把握する
- 上半身と下半身を連動させて動かす
- 体勢によって力を入れる部分を適切に変える
など運動には常に複数の課題が必要となります。この課題に対して、適切な動きを行うためにコーディネーション能力が重要となるのです。
~ゴールデンエイジ~運動能力に重要な神経系の発達は幼少期が最も成長する
引用:スキャモンの発育曲線
図はスキャモンの発育曲線というアメリカの医学者であるスキャモンが1928年に発表したグラフです。神経型のグラフに注目していただきたのですが、0歳から急激に伸びて12歳でピークを迎えその後は平行線となっています。
神経型の発達に関わる器官は「脳、脊髄、視覚器、頭径」です。運動神経や運動センスに関わる重要な神経は0歳から12歳でほぼ完成されます。つまり、運動能力に重要である運動神経や運動センスは幼少期にそのほとんどが決まってしまうのです。またそのように幼少期の成長著しい期間をゴールデンエイジといいます。
以前ゴールデンエイジについての記事をまとめましたので参考までに。
コーディネーション能力を成長させるトレーニングの例
コーディネーショントレーニングは複数の動きを同時に行うトレーニングです。右手と左手で違う動きをしたり、手と足で違う動きをしたりなど、日常行わないような動きをする事がポイントとなります。そのため最初はスムーズにできないかもしれませんが、諦めずに何度もチャレンジする事が重要です。出来ない事をやる事で脳が刺激され活性化されます。
そしてコーディネーショントレーニングは、運動神経を刺激するのが目的であるため、体力よりも神経を使うトレーニングです。以下に簡単に遊びの中で一人でも、親子でもできるコーディネーショントレーニングをお伝えしていきます。
じゃんけん
●一人で両手でじゃんけんをして常に右が勝つようにする
●一人で手と足でじゃんけんをして常に手が勝つようにする
●足でボールをドリブルするように転がしながら、両手でじゃんけんをして常に右が勝つようにする
●二人組でじゃんけんをして、後出しで常に勝つようにする
●片手をつないだままじゃんけんをして、勝った方が手を握る、負けた方が手を握られないように離す
※右と左を逆にしたり、後出しで常に負けるようにしたり色々バリエーションを組み合わせると良いです。
ボールを使ったトレーニング
●ボールを転がしてペットボトルボーリング
※ボールの大きさや重さ、ペットボトルの距離、ボールを投げる、蹴るなど条件を色々変えて行う
●自分が投げたボールをキャッチ①
ボールを上に投げて、親が口で言った数だけ手を叩いてキャッチする
●自分が投げたボールをキャッチ②
ボールを上に投げて、親が手で示した数だけ手を叩いてキャッチする
●自分が投げたボールをキャッチ③
ボールを上に投げて、親が手で示した数だけ手を叩いて、その数字を子供が声に出してからキャッチする
●自分が投げたボールをキャッチ④
頭上に投げたボールを背面でキャッチする
●自分が投げたボールをキャッチ⑤
背面から投げたボールを前方でキャッチする
●自分が投げたボールをキャッチ⑥
長坐位で頭上に投げたボールを素早く立ち上がってキャッチする
●親子で2つのボールを使って同時にキャッチボール
ぶつからないように同時に投げあって行う
●二人で足でボールを蹴ってパスをし合うのと同時に、手でもボールを投げ合う
※片脚立ちで行ったり、坂道や不安定な場所で行うとバランス能力のトレーニングにもなります。
ジャンプ
●指示通りにジャンプ
親が「前」と言ったら前へ、「後ろ」と言ったら後方へジャンプする
●指示とは逆にジャンプ
親が「前」と言ったら後ろへ、「後ろ」と言ったら前へジャンプする
●ラダーをジャンプで通過していく
●ラダーを足ジャンケンのグー、パーと交互に一マスずつ行っていく
●ラダーを親の口頭で足ジャンケンのグー、パー指示してその通りに行っていく
コーディネーショントレーニングは子供との遊びの良いスパイスになる
今回紹介したコーディネーショントレーニングは比較的簡単に出来る内容です。なので子供との遊びの中で取り入れやすいのではないかと思います。私自身、何も知らない時は子供と公園でただボール投げしたり、蹴ったりしていただけでした。しかし、これらのバリエーションを組み合わせる事によって、遊びの幅が広がり、子供自身もゲーム感覚で楽しんで遊べています。その遊びの中で、コーディネーション能力を養っていければ一石二鳥かなと思っています。コーディネーショントレーニングはアイディアがあればいくらでもバリエーションは増やせると思います。いつもの遊びに取り入れることで、ちょっとしたスパイスとなり、子供の遊び幅が広がると同時に、コーディネーション能力を養えるのでオススメです!