最近、和式トイレで用を足せない子供、立ったまま靴下を履けない子供が増えてきているといわれています。いわゆる、しゃがむ、片足立ちでバランスをとるという事が出来ないのです。
昔と比べると社会や環境の変化によって、最近の子供は運動神経が劣っているとか、体が弱っているというような事がいわれています。
そのような現象は子供ロコモティブシンドローム(以下子供ロコモ)と呼ばれており早期からの予防が大切となります。今回はこの子供ロコモについて解説していきます。
目次
子供ロコモとは?
まず、高齢者に多いとされるロコモという言葉をご存知でしょうか?
ロコモとは簡単に説明すると、
足腰が弱り、立ち座りしたり歩いたりする移動能力に支障をきたす状態です。
ロコモについてはこちらのハマコーさんの記事に詳しくまとまっていますので是非一読を‼︎
ロコモティブシンドロームとは?知っておくべきチェック方法と予防体操 ~PTハマコーのオフィシャルブログ~
私の病院でも膝の悪い変形性膝関節症の人にロコモチェックをしたのですが、6〜7割の人がロコモに該当していました。
ロコモといえば高齢者というイメージで、一見子供には関係ないように思えますが、骨や筋肉などの運動器機能に問題を抱えている子供が急増しています。
具体的な例をあげると・・
- 朝礼で立っていられない
- 足がすぐつってしまう
- 和式トイレが使えない
- 手で体を支えられないため、ぞうきんがけが出来ない
- 倒立が出来ない
- 転んだ時に手を付けずに顔面を打ってしまう
- ボール投げが出来ない
子供ロコモとは、これらのような運動器機能障害がみられる子供を指します。
これらは
- 体の柔軟性低下
- 体力低下
- バランス能力低下
- 反射神経低下
が原因となっています。
子供ロコモの原因
なぜ子供ロコモと呼ばれる子供が増えているのか?原因は現代の社会的、家庭的要因があげられます。
- スマホやゲームの普及
- 塾などの習い事が多い
- 外遊びができる環境が減っている
- 移動に車や電車を使用し、長距離を歩く機会が減っている
- 幼少期のベビーカーや抱っこ紐の多用により歩数の減少
- 乳児期にバリケードなどによる動きの規制
- 危険を気にしすぎる親の過保護
これらの原因から、活発に遊ぶという事が減ってきており、身体をうまく使えない、体力がない、バランスが悪い、柔軟性がないという子供が増えているといわれています。
また、親の過保護から、
小さな怪我もしない
↓
危険回避能力低下
↓
大怪我
という負のスパイラルも一つの問題とされています。確かに転んだり、高いところから転落するリスクを考えて、子供にすぐにダメダメといってしまう心理も親としてはよくわかります。
でも大人でもあるように失敗から学ぶ事は大いにあります。多少の怪我をする事で危険回避能力が養われるという考え方も一理あるのかなと思います。
子供ロコモチェック
子供ロコモの可能性があるかどうかをチェックする4つの方法を紹介します。一つでも当てはまると子供ロコモの兆候の可能性があります。
①片足立ち
ふらつかずに左右とも5秒以上静止できるかどうかをみます。
②しゃがみ込み
踵をつけたまましゃがみ込めるか、後方に倒れないで静止できるか、お尻を下まで下せるかをみます。
③両手バンザイ
両手が垂直にあげられるかをみます。
④前屈
前屈で指先が床につけられるかをみます。
⑤グーパー動作
両手を水平に伸ばした状態から、グーを作りながら肘を後方に引き、パーと勢いよく手を前に突き出します。この一連の動作をスムーズに行えるか、パーで手首、指がしっかりと伸ばして反れるかをみます。
子供ロコモの身体特徴
最近の子供の体の特徴として問題視されているのが、姿勢と足部の形状です。
ストレートネック・猫背
ゲームやスマホの普及により、長時間下を向いて猫背になる事が多くそれによりストレートネックや猫背になる子供が増えています。実際、私のクリニックでも小学生や中学生で頸部や肩のはり症状を訴えで、医師からリハビリのオーダーがでる事も増えています。
ストレートネックや猫背は連鎖的に骨盤が後ろに倒れやすく、後方重心となりバランス能力の低下を引き起こす原因ともなります。
足部の異常
姿勢の問題で後方重心となることで、足部にかかる荷重も変化していきます。
画像引用:NPO法人 ストップ・ザ・ロコモ協議会
図のように足の裏で3点支持で体重を支える事が理想的ですが、後方重心となると踵に荷重がかかるため、2点支持となり足の指に荷重がかからなくなります。
そうなる事で足の指の力が弱まり、浮き指、外反母趾、内反小趾といった形状を引き起こし、バランス能力の低下に繋がってしまいます。
このような足部の異常の問題の原因は歩く事が減ってきている事も指摘されています。
歩数の減少
※小学生の歩数
1979年 27000歩/日(文部省資料)
2011年 11000歩/日(東京都調査)
また、環境面の変化も足部への影響を与えています。
- 乳幼児期につかまり立ちや伝い歩きをしない
- ぞうきんがけのような足の指を使う動作をしない
- 室内でも靴下、スリッパを着用し、裸足になり足部を開放する機会が少ない
- 子供の頃からヒールのある靴を好んで履いている
子供ロコモの対策
子供ロコモの場合、高齢者のロコモと違い早期に治療が必要というわけではありませんが、放っておくと将来ロコモになる可能性や、怪我をしやすい、運動能力が低下するといった事が懸念されます。対策としては以下の三点が挙げられます。
姿勢教育
長時間のスマホやゲームなどで画面を注視していると、猫背となり、頭が前に出てしまっている不良姿勢となります。また机に座っている姿勢が猫背になったり、骨盤が倒れている姿勢になりやすくなります。普段の生活から、猫背や骨盤が倒れてしまう姿勢をとる時間を減らす事で姿勢教育を行っていく事が大切です。
運動習慣の改善
室内での遊びだけではなく、外遊びで色々な運動を行う事が大切です。また一つのスポーツばかりをやるのではなく、色々なスポーツをする事で体の偏りを生じさせない事も大切です。例えば夜まで野球の素振り練習をひたすらしていると、同じ筋肉しか使わず、同じ動きしか行わないため、他の箇所の柔軟性や筋力の低下を引き起こしてしまいます。
生活習慣の改善
長時間のゲームやスマホの使用は姿勢を悪くする要因になります。また夜ふかしや睡眠時間が少ない事、偏った食生活なども発育期の子供の体に大きな影響を及ぼします。普段の生活習慣の改善も子供ロコモの予防には重要です。
実際に我が子で子供ロコモをチェック!
実際に我が子(4歳男の子)のロコモ度をチェックしてみました!
うん、全てクリア‼︎
今のところ子供ロコモの心配はないようです(´▽`*)
しかし、今後の姿勢、運動習慣、生活習慣によっては体に変化が起こる事も考えられます。
体の専門家である理学療法士の息子が子供ロコモだなんて事にならないように、しっかりと教育していかねばなりません!