子どもに急増している外反母趾!解剖学的にどのような状態なのか?

最近の子どもは外反母趾を呈する子が増えてきていると言われています。

原因としては歩数の減少、サイズの合わない靴の使用、外遊びの減少などが挙げられます。

外反母趾とは簡単に言うと、親指が外側に曲がってしまう病態ですが、具体的に解剖学的にどのような状態が起こっているのかを書いていきたいと思います。

外反母趾とは?

外反母趾とはMTP関節(第1中足趾節関節)で母趾が外転し、内側が突出した変形で、外反母趾角(hallux valgus angle:HV角)が20°以上のものを指します。

日本足の外科学会では20°以上を外反母趾と定義しています。

母趾の外転変形と、第1中足骨の内反が伴います。

第1中足骨と第2中足骨との間の角度をM1-M2角(fist-second intermetatarsal angle:基準6~9°)として表しますが、この角度と外反母趾には強い相関があるとされています。

一般的には母趾が外転するのが外反母趾と短絡的に思われがちですが、実際にはどのような状態が起こっているのかを、少し細かく書いていきます。

外反母趾は2次元の動きだけではない

外反母趾はHV角にて判断するため、2次元での問題と捉えやすいですが、実際は第1基節骨・中足骨の回内という3次元での動きが伴っていることが多いです。

種子骨の外側偏位

あまり聞きなれないですが、母趾に付着する短母趾屈筋の腱内に種子骨が存在しています。

外側種子骨(小指側)と内側種子骨(親指側)です。

外反母趾により第1中足骨が内反・回内すると相対的に種子骨は外側に偏位し亜脱臼を起こします。

すると外側種子骨に付着している母指内転筋は短縮、内側種子骨に付着している母趾外転筋は過緊張となります。

これらの筋のバランスの崩れもさらに外反母趾を悪化させる要因となります。

筋の外側偏位

母趾の基節骨は付着している筋肉の内外側のバランスによってその位置が保たれています。

しかし外反母趾によって第1中足骨の内反が生じると、長母指屈筋腱・長母指伸筋腱の走行が外側へ偏位してきます。

正常であればこれらの筋肉の作用は母趾の屈曲伸展ですが、外側に走行が偏位する事によって、外反方向へ作用してしまいます。

その外側に偏位した筋群の張力によって、基節骨の外反が助長されてしまうのです。

正常の場合

外反母趾の場合

母趾外転筋の底側偏位

第1中足骨が回内する事で、内側種子骨は足底側へと偏位してきます。すると内側種子骨に停止している母趾外転筋は本来あるべき足部の内側から足底側へと偏位してきます。

すると母趾外転筋は、母趾を外転させる作用ではなく、屈曲させる作用として働いてしまう事となります。

まとめると以下のようになります

外反母趾により生じる事

・基節骨・第1中足骨の回内

・種子骨の外側偏位(亜脱臼)

・長母趾屈筋・長母趾伸筋の外側偏位

・母趾外転筋の底側偏位

外反母趾の原因

外反母趾の原因としては解剖学的に以下の原因が挙げられます。

  • アーチ機能の破綻
  • 距骨下関節過回内

アーチ機能の破綻

足部には内側縦アーチ・外側縦アーチ・横アーチの3つのアーチが存在しています。これらのアーチ機能の破綻は外反母趾を助長させる要因となります。

●内側縦アーチ

内側縦アーチは踵骨・距骨・舟状骨・内側楔状骨・第1中足骨で構成されています。

この内側縦アーチが低下すると偏平足となり、外反母趾を助長してしまいます。外反母趾の多くは内側縦アーチが低下している事が多いです。

内側縦アーチの低下は以下の所見がみられることが多いです。

  • 舟状骨の下制
  • 足関節背屈制限
  • 母趾MTP関節伸展制限
  • 踵骨前方傾斜
  • 舟状骨下制
  • アーチ構成筋の機能不全

外側縦アーチ

外側縦アーチは踵骨・立方骨・第5中足骨からなり、内側縦アーチよりも低く、下腿三頭筋を効率よく作用するために強固な構造となっています。

外側縦アーチは他のアーチ機能を高めるために非常に重要であり、その構成に大きく関与しているのが立方骨と言われています。

立方骨に付着している足部内在筋(短母趾屈筋、母趾内転筋、短小趾屈筋)はアーチを構成する上で欠かせない働きをしています。立方骨のアライメント異常があるとこれらの機能は破綻し、それがアーチの機能低下に繋がります。

臨床的には立方骨は下制位となり問題を起こすことが多いです。しかし、立方骨の下制を定量化するような評価はないため可動性や偏位を左右差でみる事が重要です。

距骨下関節回外、背屈制限、踵骨の前方傾斜、立方骨の圧痛などの所見がある場合は立方骨の下制が疑われます。

立方骨は全てのアーチ機能に影響を与えるため非常に重要な役割を果たしている。つまり外側縦アーチの機能低下は全てのアーチ機能に影響を及ぼします。

横アーチ

横アーチは内外側のアーチの間に存在し、中足骨レベル、第1楔状骨~立方骨までの楔状骨レベル、舟状骨~踵骨前端までの後足部レベルに分類されます。

横アーチの低下は開張足を引き起こし、外反母趾を助長します。

距骨下関節過回内

距骨下関節が過回内する事で、内側縦アーチが低下し、外反母趾を助長してしまいます。

距骨下関節が過回内を起こす原因としては様々ですが、

  • 足関節背屈制限
  • 後脛骨筋の機能不全
  • 腓骨筋の柔軟性低下
  • 母趾MTP関節の伸展制限

などが挙げられます。

まとめ

  • 外反母趾は単純に2次元レベルの変形ではなく、回内を伴った3次元の変形である
  • 種子骨の外側亜脱臼・筋の外側偏位・底側変位などが起こり、筋の作用がより外反母趾を助長している
  • 主な解剖学的な要因としてはアーチ機能の破綻、距骨下関節過回内が挙げられる

今回は外反母趾について解剖学的にどのような状態が起こっているのかを中心に書いて行きました。今後、予防のためのエクササイズ方法などをまた書いて行きたいと思います。