今回は膝の症例報告を簡単にしたいと思います。
タイトル通り”ざっくり症例報告”なのでご了承ください。
以前ブログ記事でも紹介した脛骨大腿回旋症候群に当てはまる症例です。
距骨下関節過回内からの膝の痛み
症例:40代女性
診断名:右側変形性膝関節症
主訴:階段降りる時や立ち上がり時に膝の内側が痛い
疼痛部位:膝関節内側裂隙周辺
既往:半年前に右足関節捻挫
<動作所見>
1足1段右脚支持時にて
降段支持時に距骨下関節回内位で、内側縦アーチの低下がみられknee inが著名に出現
膝関節内側部に疼痛の訴え VAS 9/10
→膝とつま先の向きを同じにするよう指示し、knee inを制御すると VAS 5/10
右側距骨下関節回内位にて軽度knee in
痛みはなし
立脚中期から後期にかけて距骨下関節の過回内がみられ、下腿が外旋位股関節内旋位となる。
右側踵離地の遅延がみられ、遊脚期には外側ホイップが観察される
左側は踵骨の回外するが、右側踵骨回外不足
踵の挙上も右が少ない
<特記事項>
※全て右側
距骨下関節回外制限
距腿関節背屈制限
母趾MTP関節伸展制限
後脛骨筋・中臀筋筋力低下
オーバーテスト陽性
1年前に右足関節捻挫の既往あり
<問題点・仮説>
階段降段時の支持脚の距骨下関節回内による連鎖からのknee inによる膝関節内側への伸張ストレス
捻挫の既往ある事から足部の障害が主因と考えられる
#後脛骨筋筋力低下
#右足関節背屈制限
#大腿筋膜張筋の硬さ
#中臀筋の筋力低下
<アプローチ>
後脛骨筋筋力訓練
→・徒手にて底屈、内反方向への抵抗運動
・カーフレイズ
足関節背屈可動域訓練
→・脛腓関節モビライゼーション
・距骨の滑り促通
・下腿三頭筋・足底筋膜のリリース
MTP関節背屈可動域訓練
長母趾屈筋・長趾屈筋の滑走性向上アプローチ
(長母趾屈筋を押圧して2-4趾の伸展、長趾屈筋を押圧して母趾を伸展)
大腿筋膜張筋~腸脛靭帯のリリース
中臀筋筋力訓練
後脛骨筋と臀筋の協調性訓練
→背臥位にて踵でベッドを押し付けながら(股関節伸展にて臀部収縮)、底屈内反するよう徒手抵抗。殿筋と後脛骨筋を同時に収縮させる
<ADL指導>
階段時はなるべく手すり使用をすすめる
降りる時の支持脚は膝を外側に向けて臀部を締めるように指示
カーフレイズ、中臀筋エクササイズは自主トレで行ってもらう
<経過>
週2回、4週間の通院にて降段時の距骨下関節回内、knee in軽減しVAS 1/10
まとめ
背屈制限があると距骨下関節を過回内させる代償をよく経験します。
距骨下関節回内→knee inという連鎖から膝内側へのストレスが生じます。
またknee inにて股関節内旋内転しやすい人は中臀筋後部線維の筋力低下している事が多いです。
また既往に足関節捻挫や下腿の肉離れなどがあると足部の問題から他部位に影響を与えている事が多い印象です。
症状の訴えは膝ですが、足部からのアプローチで改善をした症例報告でした。
最後までお読みいただきありがとうございます。
続 運動機能障害症候群のマネジメント頸椎・胸椎・肘・手・膝・足