私の勤めている整形外科クリニックでは、膝や腰の訴えで来院される患者さんが多いですが、足部に何らかのトラブルを抱えている方が非常に多いです。
また学生のシンスプリントやアキレス腱炎、オスグッドなどでも足部のトラブルを多く見かけます。特に踵骨が傾いてしまう回内足、回外足が問題となる事が多いです。
最近は、子供の患者に踵骨が回内位となっているパターンを多く見かけます。
今回は比較的臨床で遭遇しやすい回内足、回外足についての評価についてまとめていきます。
目次
足部・足関節の機能評価① 回内足・回外足の静的アライメント評価
①距骨頭アライメントの評価
距骨の内外側頭を触診し、内側と外側が同等に触れる事が出来るかを評価します。
距骨頭は底屈位だと内外側ともに触診しやすくなりますが、実際の評価は底背屈中間位で評価します。
距骨頭内側部が触診可能で、外側頭が触診できない場合は、距骨が外旋位を呈しており、foot angleが大きくなります。回内足でこのパターンは多く見られます。
回内足=内側触知 〇 外側触知 ×
回外足=内側触知 × 外側触知 〇
②外果の上下の曲線
立位で外果の上下の曲線を触れます。外果上方の曲線は腓骨なので、足部の回内外では変化しません。
外果下方の曲線は強くなる⇒回内足
③踵部角(Calcaneus angle)
後足部の評価方法です。立位で前額面上で床面への垂線と、踵骨の長軸とがなす角度を診ます。
正常はー5~5°
踵部角が5°以上回内⇒回内足
④距舟関節の隆起
距舟関節の隆起は、回外すると消失し、回内すると隆起が内側に変位するため、隆起が目立つようになります。立位で隆起に触れられるかどうかを評価します。
隆起を触れられない =回外足
⑤内側縦アーチ高さ(Williamsによる)
足長の50%の地点での床から足背までの高さを計測します。
アーチ高の平均値は6.47±0.62cm
低アーチ⇒回内足
⑥前足部の内・外転 (too many toes sigh)
足後方から観察し、足趾が見える数を確認します。
立位で踵部を後方からみて、外側に足趾が1.5趾以上見える場合が陽性となります。
これらの6項目にて該当する項目が多く、また程度が高い程、回内足、回外足が板疑われます。
引用:運動機能障害の「なぜ?」がわかる評価戦略
その他 足部の評価方法
leg heel angle
後足部の評価方法です。
立位で踵骨の長軸とアキレス腱の延長線を結んだ線のなす角度を診ます。
正常は3~5°
※この検査は踵骨の傾きだけではなく、下腿三頭筋、特に腓腹筋の発達程度によって計測値が変化する事もあるので注意。
内側縦アーチの機能の評価です。
床から舟状骨粗面までの高さを
距骨下関節を中間位に補正した立位
自然立位
とで比較します。
10mm以上の変異があると陽性となり、内側縦アーチの低下が示唆されます。
先ほどのnavicular drop testと方法は同様です。
舟状骨の内側への側方移動の距離を
距骨下関節を中間位に補正した立位
自然立位
とで比較します。
7mm以上の変異があると陽性となり、内側縦アーチの低下が示唆されます。
foot angle
背臥位で膝蓋骨を上に向けた状態で足長軸(踵骨中央と第2中足骨頭を結ぶ直線)の傾きを左右で比較します。
距腿関節の運動軸は膝関節軸に対して20~30°外旋しているため、一般に足長軸は立位で外向きになります。
明らかな左右差が見られる場合は、脛骨粗面の位置や膝関節回旋ROM、股関節回旋などの評価も加えて異常なFoot Angleの原因を特定します。
足部のアライメント異常は大きな怪我を招く原因となる!
足は地面と接している唯一の部分で身体の土台となります。
整形外科クリニックに通ってくるオスグッドやジャンパー膝、鵞足炎などの患者の場合、足部のアライメント異常によって、膝へのストレスを強めている事が非常に多いです。
特に最近の子供の患者では、回内足となっているパターンを多く見かけます。
回内足はknee in toe outを助長し、結果的に膝や腰への回旋ストレス、アキレス腱の伸張ストレスなどを強めてしまいます。鵞足炎や前十字靭帯損傷を引き起こす事もあります。
回外足は足部の外側部への荷重を強め、サッカー選手に多い第5中足骨骨折(Jones骨折)や腸脛靭帯炎(ランナー膝)を起こしやすくなります。
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特にジュニア期の怪我の予防としても、回内足、回外足の評価は重要となってきます。大きな怪我を招く前に、専門家がメディカルチェックをして予防を進めていけるような環境を作っていければなと思います!
またこのような足のアライメント異常には、自分の足に合っていない靴が問題となる事もあります!
恥ずかしながら私自身、これまではあまり靴については重要視していませんでしたが、非常に重要なポイントであります。
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