膝のリハビリで多く遭遇するパターン ~脛骨大腿回旋症候群~ 

整形クリニックでのリハビリにおいて膝に訴えのある患者さんって非常に多いですよね。

私自身、毎日のように多くの膝患者さんのリハビリを行っています。

その中でも多く遭遇するパターンを紹介していきます。

以前紹介したMSIアプローチに基づいた考え方です。

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膝関節の運動系症候群 ~脛骨大腿回旋症候群(外反を伴う)~

脛骨大腿関節の回旋機能障害に伴う膝関節痛が特徴。
外反を伴ったものと内反を伴ったものの二つに分類されます。
MSIの教科書にも頻度が多いと書かれていますが、私も経験上、臨床にて外反を伴う脛骨大腿回旋症候群、いわゆるKnee inを呈するものを多く経験します。

脛骨大腿回旋症候群の特徴

荷重動作での膝の動作時に

脛骨に対する大腿骨の過剰な内旋あるいは内転がみられる

大腿骨に対する脛骨の過剰な外旋あるいは外転がみられる

のが特徴で、これらが原因となってKnee inを呈します。

膝の動的不安定性を呈し、男性よりも女性に多くみられるのが特徴です。

脛骨大腿回旋症候群の症状・特異的所見

スクワットやランジなどの荷重動作、階段や歩行などで脛骨大腿関節が回旋する際に、関節裂隙に沿った疼痛や膝蓋骨周辺の領域、腸脛靭帯の付着部に疼痛を訴えます。

 アライメント分析

静止立位にて後方からの観察で脛骨の外旋、あるいは大腿骨の内旋が観察されます。
(ポイントとして膝窩のハムストリングスの付着部に注目。内側ハムストが突出していたり、外側ハムスト付着部が後方からは見えなくなっているとその可能性が高い)

他には

●外反膝を呈している

●距骨下関節の過剰な回内

●内側縦アーチの低下

が特徴的です。

 運動機能障害

<片脚立位>

患側立位では大腿骨の過剰な内旋や足部の回内を呈します。

視診は後方から診ると分かりやすいです。

支持側の膝窩の外側ハムストの腱が見えなくなると大腿骨の内旋と判断します。

<パーシャルスクワット・ランジ動作>

大腿骨の内転、内旋と膝関節の外反を呈します。

⇒痛みを呈する場合、膝の外反を修正すると痛みが緩和される場合はこの症候群の可能性が高いです。

修正例:つま先と膝のお皿が同じ向きを向くように膝を曲げて下さい

修正例:徒手的に下腿の外旋、股関節の内旋を抑えて動作を行わせる

これで症状が緩和されるとこの症候群の可能性が高いです。

<筋長の機能障害>

患側の大腿筋膜張筋-腸脛靭帯の伸張性低下

※検査側をベッドから下垂させた肢位でトーマステストを行うと脛骨の外旋が観察されます。

⇒大腿筋膜張筋の停止が脛骨外側結節であり、身長する事で脛骨外旋させる要因となるため

<筋力の機能障害>

股関節外旋筋・股関節外転筋のパフォーマンス低下
⇒特に筋短縮位での収縮時に筋力低下が著名にみられます。外転筋・外旋筋のMMTを中間位・外転位で評価します。

<歩行での特徴>

立脚相での大腿骨の過剰な内旋または内転、足部の過剰な回内がみられます。

遊脚相での脛骨外旋がみられます。

 治療方針

股関節外旋筋・外転筋のパフォーマンス向上

⇒特に筋長が延長している事が多いため、短縮位でのエクササイズが効果的。

例:側臥位にて股関節外転・外旋のエクササイズ

※骨盤の回旋や大腿筋膜張筋の使用などの代償に注意

脛骨内旋筋のパフォーマンス向上

⇒脛骨外旋位となっているため膝窩筋や内側ハムストの筋長が延長している事が多いため、収縮を促す。

例:

※大腿部が動かないように脛骨を内旋させます。

大腿筋膜張筋-腸脛靭帯の伸張性増大

⇒大腿筋膜張筋-腸脛靭帯は大臀筋との繋がりが深いと言われています。大臀筋の柔軟性を改善する事も有効となります。

例:

距骨下関節過回内の修正

⇒後脛骨筋が機能不全を起こしていると距骨下関節が過回内する事が多いです。後脛骨筋のトレーニングも重要な要素となります。

例:

ADLでの大腿骨内旋・脛骨外旋位の制御

例)足組動作の禁止
⇒患側が上での足組をする人を多くみかけます。殿筋の延長位も助長してしまいます。

例)割り座の禁止

例)立ち上がり・階段昇降時に膝とつま先が同じ方向を向くように指導

 まとめ 私の臨床での主観

私は膝の疾患の場合、歩行、ランジ、パーシャルスクワット、片脚立位をまず評価します。

その動作において上記の共通の運動パターンが見られます。比較的臨床で遭遇しやすいケースです。

また変形性膝関節症の特に女性に多くみられます。多くは中臀筋と股関節外旋筋のパフォーマンス低下により、大腿筋膜張筋の過剰性がみられます。

それに伴って腸脛靭帯の過緊張、また外側広筋、外側ハムストリングスとの癒着が生じ、滑走性が低下する事が多いです。

アプローチとして、大腿外側部の硬さを改善し、脛骨の内旋を促す事が多いです。

また中高生の部活をやっている女子にも多くみられる運動パターンでもあります。

特にシンスプリントや鵞足炎、腸脛靭帯炎、足関節捻挫後の後遺症で見受けられます。

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またこの症候群は、
●患側を上にして足を組む人
●外反母趾がある人

●回内足の人
●足関節背屈制限がある人

●割り座で座る事が多い人

●内側縦アーチが低下している人
●骨盤前傾が強い人

が多いな~って印象です。

改善のカギは生活動作での回旋ストレスをかけない事です。

患者さんに患部にストレスをかけている動作を認識してもらうことが重要です。

立ち上がり動作時や、階段の昇り降りの際の膝とつま先が同じ向きを向くようにする事で日常生活での回旋ストレスを軽減させる事が可能です。

また内側縦アーチ機能や回内足を補正するようなインソールも有効です。

膝の問題ですが股関節、足部からの影響が大きく、個別に評価する事が重要です。

もちろん全ての症例がこれに当てはまるわけではないですが、比較的多いパターンなので参考にしていただければ幸いです。

続 運動機能障害症候群のマネジメント頸椎・胸椎・肘・手・膝・足