最近スマホやパソコンの普及にてストレートネックと言われる人が多くなってきています。
いわゆるヘッドフォーワード、頭頸部前方位といわれるアライメントを呈しています。
肩こり、首の痛みの原因!ストレートネックの改善方法、ストレッチなど徹底解説
整形外科にリハビリで来られる患者さんで頸椎の痛みで多く経験する頸椎伸展時に生じる疼痛、頸椎伸展症候群について書いていきます。
MSIアプローチに基づいた考え方です
頸椎伸展症候群の特徴
- 頸椎伸展時に後方に痛みを訴え、PC作業、デスクワークなどで憎悪する
- 屈曲伸展の際に過剰に水平面で並進移動を呈する
- 後頭下領域の頭痛を訴える事も多い
- 頸部内在筋※よりも頸部外来筋※が優位
- ヘッドフォワード、胸椎後弯
肩甲骨下制、過剰な外転
斜角筋や胸鎖乳突筋、僧帽筋、肩甲挙筋にスパズムがみられる事が多く、頸部の前後屈の際に矢状面での並進移動が過剰にみられる特徴があります。
頸部内在筋の活動が低下すると、斜角筋や胸鎖乳突筋、肩甲挙筋などの頸部外来筋の活動が過剰となります。
頸部外来筋は頸部を並進移動させる働きがあるため、このような運動パターンがみられるのです。
頸椎伸展症候群の運動パターンの分析
座位での検査
頸椎自動伸展時、矢状面での後方回旋よりも後方並進の量が多く、過剰なROMを呈することもある。(若年者に多い)
開始時に頭頸部前方位を呈し、ROMが制限されている(高齢者に多い)
上位頸椎の伸展が下部よりも早く起こる
2次検査
疼痛を呈する場合以下の修正を加えて症状が変化するか評価する
●頭頸部前方位をニュートラルに修正
矢状面でのアライメントを正中位に修正して頸部の前後屈を行う。
症状が変化する場合は頭頸部のアライメント異常が問題の可能性がある。
●上肢帯の他動的挙上
徒手や枕などで上肢帯の重量を支持し、僧帽筋上部や肩甲挙筋の他動伸張を軽減し、症状が変化する場合は肩甲帯の問題の可能性がある。
●胸郭の他動的挙上
他動的に胸郭を挙上する事で症状が変化する場合は腹筋群の硬化が問題である可能性がある。胸郭が下方に牽引され斜角筋の張力が増して頸椎に負担がかかっている。
●胸椎、肩甲骨の位置をニュートラルに修正
胸椎、肩甲骨の位置をニュートラルに修正する事で症状が変化する場合は、胸椎、肩甲骨アライメント異常が起因している可能性がある。
背臥位の検査
●頸部の自動屈曲
屈曲の際、矢状面の前方回旋に比べて、過剰な前方並進がみられ頭部前方位となり疼痛の訴えも聞かれる。
頸部外来筋(胸鎖乳突筋、前中斜角筋)が過剰である。
●床から肩甲骨の距離
2~3横指が理想だが、それ以上の場合、肩甲骨前傾・外転位となり小胸筋の短縮が示唆される
腹臥位での検査
●頸部の自動伸展
矢状面での後方回旋よりも過剰な後方並進がみられる。(頸部内在筋よりも肩甲挙筋を過剰に動員している)
矢状面の後方回旋を口頭にて指示して症状が変化するか評価する。
※耳孔を中心軸にして頸椎を伸展するようにと指示するとわかりやすいです。
治療方針
●頸部外来筋の過剰性を抑え頸部内在筋の促通
例: 背臥位で顎を引くex
耳孔軸を中心とした頸椎の屈伸運動
(併進移動を抑えて内在筋優位の運動)
●胸椎・肩甲帯のアライメントの正中化
例:小胸筋・腹直筋・胸鎖乳突筋などマルアライメントになる原因となる筋の柔軟性の獲得
●僧帽筋の筋力強化
●ADLでの環境設定にてマルアライメントにならないような状況を作る
例:PCデスクや書斎の高さの調整(低いと胸椎後弯、頭頸部前方位となりやすい)
●座面の変更(骨盤後傾位とならない設定を)
上肢を支えるクッションを使用など(肩甲帯が下制・下方回旋を呈しないように)
まとめ
臨床での経験上、デスクワークの人に多い症例かと思います。機能改善は必須ですが、仕事やADL場面での環境設定が非常に重要になる事が多い印象です。
治療で柔軟性、支持性を一時的に改善しても環境によっては症状を憎悪しやすいため、本人にこの姿勢が症状を悪化させているという自覚を持つように促すことが必要です。
頸部・胸椎・肩甲帯へのアプローチでも改善が見られない場合、下肢からの影響で骨盤アライメント異常からも症状を呈する症例も多いです。
例えば、ハムストリングスや臀筋の柔軟性低下により骨盤後傾となると、胸椎後弯、頭頸部前方位を助長してしまいます。
その場合はハムストリングスや臀筋の柔軟性改善から骨盤アライメントを修正する事も必要となります。
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