今回はアナトミートレインの主要ラインであるスーパーフィッシャルフロントアームライン(SFAL)について書いて行きます。
アナトミートレインは頭に入っていると評価や治療の視野が大きく広がります。
目次
スーパーフィッシャルフロントアームライン(SFAL)
アナトミートレインのラインの種類の一つで、主に胸部から腕の前面を走行しているラインです。
筋膜経路は以下のようになります。
画像引用:ファッシャル・リリース・テクニック
大胸筋・広背筋
↓
内側筋間中隔
↓
手屈筋群
↓
手根管
広背筋が後面(バック)にあるのに前面(フロント)に含まれています。発生学的に元々は前面に存在していたといわれており、進化の過程で後面に存在するようになったといわれています。
スーパーフィッシャルアームラインの特徴
上肢の位置の制御
スーパーフィッシャルフロントアームラインは主に上肢の操作に関わります。広背筋・大胸筋からラインは始まりますが、後に出てくるファンクショナルラインと広背筋と大胸筋は連結しています。
ファンクショナルラインは上肢と体幹と下肢を連結するため、体幹下肢が安定することで上肢の自由度を提供するような形になります。そのため上肢の位置の制御をするのに重要な役割を担っています。
短縮しやすい
人間の活動は8~9割りは体の前面で行われます。例えばこのブログを書いているPC作業もそうですし、料理する時、書き物をする時、食事をする時など多岐にわたります。作業の際は手指を屈曲、手関節を掌屈位、肘を屈曲位で行う事が多いため、このラインにある筋は短くなる傾向にあります。
スーパーフィッシャルアームラインの治療への応用
肩関節疾患では大胸筋、広背筋にアプローチする事が多いかと思いますが、前腕の屈筋との連結もあるため、肘、手関節の評価も大事になってきます。広背筋や大胸筋の柔軟性に問題がある場合、前腕屈筋や手指屈筋群の硬さも問題となってくる事があります。
スーパーフィッシャルフロントアームラインをストレッチする際は前腕手指屈筋群も伸長位で行うとより効果的となります。
ストレッチ方法としては、ベッド上で背臥位となり、手掌を上に向けて肩は外転させ、ベッドから上肢は下に下します。さらに膝を立てた状態で、伸ばしている上肢と反対側に倒すことで大胸筋がより伸張され、スーパーフィッシャルアームラインをよりストレッチする事が出来ます。私は患者さんへのセルフケアの指導でよく指導します。
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