臨床に出ると、色々な悩みが増えてきて
「この患者さん全然よくならない。」
「どうアプローチしていけばいいかわからない。」
ってなってきます。誰もがそうですし、私は経験年数そろそろ10年目になりますが毎日治療でたくさん悩みます。。。
そこで何か新しい知識を身につけないとと思い、とりあえず勉強になる本を買おう!ってなるかと思います。
でもリハビリに関する本ってたくさんありすぎて何を買って読んだらよいのか迷いますよね?
しかも一冊の値段が高いため、思い切って買って見たものの、あまり活用できずに読まなくなってしまうなんて事にはしたくないです。
私も経験年数が若い時は、色々なセミナーに顔を出したり、本を買ったりしました。しかし、やはり当たり外れがあり、
高いお金払ったのに…。
って後悔する事もしばしば。
そうならないために、私の主観ですが今まで私が読んできた中でもオススメの書籍を紹介していきます。
私は整形クリニック勤務なので、整形疾患の本に偏っていますが。。
目次
①運動機能症候群のマネジメント
運動機能障害症候群のマネジメント理学療法評価・MSIアプローチ・ADL指導
続 運動機能障害症候群のマネジメント頸椎・胸椎・肘・手・膝・足
MSIアプローチについての詳細が書かれています。
ワシントン大学のサーマン教授を中心に考えられた概念で、運動動作のパターンを評価して、アプローチまでをマネジメントします。
基本的な評価は学生の頃に習ったMMTや整形テストを主に使用し、DSM(特定方向への運動の起こりやすさ)や相対的柔軟性などの評価も合わせて症例を診ていきます。
腰椎、股関節、肩甲骨など部位別に書かれていて、運動パターン別に症例も記載されているので頭に入ってきやすいです。
DSMや相対的柔軟性などMSIアプローチの概論をまとめた記事です
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②アナトミートレイン
アナトミー・トレイン [Web動画付] 第3版: 徒手運動療法のための筋筋膜経線
学生の頃は筋肉の起始、停止をひたすら覚えさせられますよね。あたかも筋肉は個別で存在しているようなイメージを持つかと思いますが、筋肉は単一で存在しているのではなく筋膜で連結しています。その主要なラインが書かれています。全体をみる事が出来、評価、治療の視野が広がります。
私は経験年数が若い時は、症状のある部位ばかりに目がいっていましたが、これを読む事で体のつながりがイメージできるようになり、評価、治療の視野が大きく広がりました。
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③関節機能解剖に基づく 整形外科運動療法ナビゲーション
関節機能解剖学に基づく 整形外科運動療法ナビゲーション 上肢・体幹
様々な整形疾患の概論が細かな機能解剖とともに書かれています。解剖、運動、生理学の学校では習わない細かな部分が記載されているので、局所についてしっかりと学べます。
疾患ごとに分けて書かれており、急に診た事のない疾患を担当する事になった時などに重宝します。上肢編、下肢・体幹編に分かれています。
- アライメント異常が原因で生じた鵞足炎に対する運動療法
- 仙腸関節性梨状筋症候群に対する運動療法
- 膝深屈曲可動域制限に対する運動療法
- 膝内側側副靭帯損傷後の膝蓋大腿関節痛に対する運動療法
こんな感じで疾患の症状ごとに解剖学・運動学の解説、ケーススタディ、アプローチ法などが記載されています。
④ブラッシュアップ理学療法
88人の理学療法士の臨床的な考え、アプローチなどが記載されています。症状ごとに治療法が書かれているので、治療の引き出しをかなり増やす事が出来ます。しかも一つの症例につき、2〜3ページと比較的さらっと読みやすいかと思います。
- 頭部前方位姿勢・動作の修正
- 頸部深層筋に対するストレッチ
- 肩関節障害にみられる頭頸部の代償パターンを微調整する
- 体幹の回旋を改善させる方法
- 骨盤前傾非対称性を対称化する
- 過剰な腰椎前弯に対するアプローチ
- 荷重位におけるスクリューホームムーブメントの作り方
- 立脚側への荷重が不十分な歩行に対する理学療法
などこのような興味深いタイトルでそれに対するアプローチ方法が記載されています。
新刊も出ました!
- 肩関節外転位保持機能を即座に改善する
- スポーツ場面における胸椎の回旋可動域を拡大する
- 坐骨結節から骨盤前傾運動を改善する
- 歩行立脚相の重心側方移動の不足を軽減する
など新たな臨床的な知見が記載されています。
⑤運動連鎖 リンクする身体
運動動作の繋がりを理解出来ます。
局所の運動障害が、他の関節との連鎖的な繋がりで起こっているメカニズムを理解できます。
個人的にですが、このシリーズの本はパッと見読みやすく、非常にわかりやすいです。他にも変形性関節症や筋緊張の本なども出ています。
疾患ごとに運動連鎖を考慮した評価・アプローチ法が記載されています。
⑥姿勢の教科書
一般の人向けの本ですが、専門家が読んでも非常に参考になる本です。
姿勢には色々あります。その姿勢になるとどのような障害が起こるのか、どの筋肉が短縮、伸長を受けるのかなどの特徴がわかりやすく記載されています。
またそれぞれの姿勢矯正のエクササイズなども多く記載されており、自主トレーニング指導にも重宝します。内容は盛りだくさんなのに安価なのも魅力です。
- 骨盤前傾の修正エクササイズ
- 頭頸部前方位と胸椎後弯の修正エクササイズ
- 左右寛骨の前・後傾非対称性を修正するエクササイズ
- 重心と姿勢の関係
などといった姿勢に関する知識を網羅できる一冊です。
⑦理学療法プログラムデザイン
ケースごとにアプローチ方法や解説が臨床的に書かれています。
- 肩挙上時に頸部に痛みが出るケース
- 立脚期に骨盤の後方回旋代償が出るケース
- 階段降りる時にニーインが出るケース
- 股関節屈曲時に大腿直筋が過剰に収縮するケース
など多彩なケースごとにアプローチ方法が記載されています。アプローチ方法は難しい事なく、若手でも導入しやすいものが多いので臨床に導入しやすいかと思います。
⑧結果の出せる整形外科理学療法
正直、私は経験年数が若いころは読んでもあまり理解できず、本棚に眠っていました。臨床経験を積んでから読んでみると整形理学療法の基盤が書かれていて、整形専門の理学療法士なら知っていなければならない知識が盛りだくさんです。もっと早い段階でしっかりと読んでおけばよかったと思う一冊です。
読むたびに知識が深まって味が出てくるいわゆるスルメ本です。山口光圀先生・福井勉先生・入谷誠先生と豪華な著者となっています。上肢、体幹、下肢に項目が分かれていてそれぞれ深い知識に基づいた結果の出せるアプローチが多く記されています。
⑨運動機能障害の「なぜ?」がわかる評価戦略
評価の考え方のプロセスが学べる本です。例えば肩の前面が痛いとすると、その可能性がある事象を全て列挙して、一つ一つ評価をして非該当するものを消去し、該当するものを見い出すという考え方が学べます。
肩の前面が痛いといってもそれは
- 伸張ストレス?
- 圧縮ストレス?
- 摩擦ストレス?
その部位は
- 肩甲下筋?
- 腱板疎部?
- 関節唇?
- 上腕二頭筋長頭?
原因は
- 腱板構成筋の筋力低下?
- 上腕骨頭と関節窩の位置関係?
- 肩関節後方軟部組織の拘縮?
といった評価の考え方の方法、プロセスが記載されています。
また実際に整形テストでは評価できないような事の評価の仕方も記載されています。
- 上腕骨頭の前方変位に対する鑑別方法
- 三角筋滑液包が痛みの主因かを鑑別する方法
- 臀部痛が上臀神経絞扼が原因かどうかを鑑別する方法
など整形テストでは評価できないような鑑別方法も記載されています。
評価の引き出しを多く増やす事ができる一冊です。
⑩極める変形性股関節症の理学療法・変形性膝関節症の理学療法
整形外科クリニックの患者さんといえば変形性関節症といっても過言ではないくらい多く担当します。そのリハビリに必要な評価、アプローチ方法が網羅できる一冊です。変形性関節症だけでなく、TKAやTHAについても細かに解説されています。
⑪肩関節拘縮の評価と運動療法
肩関節拘縮の評価と運動療法―DVD2枚組 (運動と医学の出版社の臨床家シリーズ)
臨床で多いに迷う事が多い肩関節疾患。主に拘縮を改善するための手法が記載されています。肩の解剖学、運動学はもちろん、拘縮に対する基本的な考え方も記載されています。
個別の筋肉へのアプローチ方法、個別の関節包、靭帯へのアプローチ方法が写真付きで細かく解説されています。
- わかりやすい機能解剖
- 拘縮と障害のメカニズム
- 評価の実際
- 運動療法の実際
など。DVD付きなので実際の治療も動画でみることが出来ます。
⑫運動療法のための機能解剖学的触診技術
解剖学の本ですが、運動学的な話や、学校の解剖の授業では習わない臨床的な知識が記載されています。先ほどの整形外科ナビゲーションと一緒に照らし合わせて読むとより理解が深まります。
触診の手法も写真付きで記載されており重宝する一冊です。