足の裏が痛い!
土踏まずが痛い!
踵が痛い!
その痛み、足底筋膜炎の可能性があります。今回は足底筋膜炎について原因、症状、治療、予防法、テーピング法など解説していきます。
目次
足の裏、踵の痛み!足底筋膜炎とは?
足の裏にある足底筋膜という部分がくり返しストレスがかかる事で炎症を起こしている状態です。歩いたり、走ったり、ジャンプしたりするストレスが繰り返しかかる事によってこの足底筋膜炎が発症します。
足底筋膜は足の裏にある筋肉を包んでいる膜状のもので踵から各指に向かって繋がっています。足底筋膜はゴムのように伸びる事で体重を受け止めるクッションのような役割と、歩いたり、走ったりするときの推進力を生みだすバネのような役割があります。
足の裏、踵の痛み!足底筋膜炎の症状は?
走ったり、歩いたりすると足の裏や踵に痛みが生じます。また立ちっぱなしでも痛みが生じてきます。
特徴的なのが起床時の一歩目や動き始めの痛みです。
足底筋膜炎で最も痛みが出やすいのは
①踵に近い部分
②土踏まずの中央部、
③指の付け根部分
という順になっています。
症状の悪化とともに痛みは強くなっていき、ひどい場合は足底筋膜に踵の骨が引っ張られることで、踵の骨に骨棘というトゲが生じる事もあります。
足の裏、踵の痛み!足底筋膜炎の原因
足底筋膜炎になる原因は以下が挙げられます
オーバーユース
急に歩きすぎたり、練習量が増えて走りすぎたりなど、足に裏への過剰なストレスが原因となって発症します。特に最近では普段運動していない人が急にウォーキングやランニングを始めたりする事で発症するケースが増えています。
底の硬いシューズによる負担
クッション性に乏しいシューズで歩いたり、走ったりするとより強いストレスが足底筋膜炎にかかり発症します。サンダルや底のすり減ったシューズなどは足底筋膜炎を引き起こしやすくなります。
急な体重の増加
体重が増加する事によって足をついた際の衝撃が大きくなり、これまでの足底筋膜のクッションやバネの作用の許容範囲を超えてしまう事も原因となります。
筋肉の柔軟性低下
足の裏にある筋肉が硬くなっていると衝撃により強く引っ張られるストレスがかかりやすくなります。また足の裏はふくらはぎや太ももの筋肉ともつながっているため、これらの筋肉の柔軟性が低下していても足底筋膜炎になりやすくなります。
扁平足・回内足
土踏まずが平坦になっている扁平足や、踵の骨が後ろから見た時に内側に倒れてしまっている回内足では、衝撃のクッションが乏しく、足底筋膜へのストレスがかかりやすいため足底筋膜炎になりやすいです。
回内足(踵の骨が内側に倒れている)
足の指の筋力低下
足底筋膜を形成するのは足の指を曲げる筋肉です。この筋力が弱くなると衝撃を受け止める事が出来なくなり、足底筋膜を発症させてしまいます。
※足底筋膜炎は現代人に多いとも言われています。昔よりも公共交通機関の発達や車の普及により歩くという機会が減っているため、足の筋力や柔軟性が低下しがちである事も原因として考えられます。
足の裏、踵の痛み!足底筋膜炎の治し方・治療
保存療法
まず治療では保存療法が選択されます。保存療法とは手術などの組織切開などは行わない方法です。
まずは患部へ負荷をかけないことがまず第一です。極力、歩く量や運動量を減らしたり、シューズを変えたりしてこれまでかかっていた負担を減らすことが重要です。
よほど痛みが強い場合は整形外科などでステロイド剤などの局所注射をする事もありますが、ステロイドは副作用が強い事もありあまり複数回行う事は望ましくありません。
強い痛みが治まってきたら整形外科なんかではホットパックや超音波など患部を温める温熱療法がよく施行されます。
温める事で血行を良くして組織の回復を促進させます。
またインソール(靴の中敷)を使用して足底筋膜への負荷を減らす事も有効といわれています。
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SORBO(ソルボ)
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手術療法
あまり頻度は多くありませんが、重度の踵の骨棘が生じていたり、強い痛みで生活に支障が強い場合は手術をする事もあります。
手術は足底筋膜を一部切離したり、踵の骨棘を除去する手術が施行されます。
元オリンピックマラソン選手の有森裕子も足底筋膜の手術を施行しています。
体外衝撃波治療
最近行われるようになった治療法で、体外衝撃波による治療あります。まだ広くは普及していませんが一部の病院で行われています。
患部に衝撃波を当てる事で、痛みを引き起こす発痛物質を減らしたり、新たな血管の再生を促す効果があります。もともとは尿路結石の治療法として用いられていましたが、2008年に足底筋膜炎の治療法としても持ちいられるようになりました。
治療時間は30分程度で入院もしないで済み、治療の傷跡なども残りません。
健康保険の適応となっており、3割負担で15000円程度の費用で受けられるとされています。
足の裏、踵の痛み!足底筋膜炎のリハビリ方法~ストレッチ・筋トレ~
足底筋膜炎にならないための予防策、再発予防のリハビリを紹介します。予防として大事なことは足底筋膜の柔軟性を高める事、土踏まずを構成する筋肉を強化する事がです。また足底筋膜はふくらはぎ、ハムストリングス(太ももの裏)と連結しているためこれらの柔軟性を高める事も重要です。
ストレッチ
①足底筋膜ストレッチ
方法1
足底筋膜を指で圧迫しながら足の指を反らすように動かします。
親指~小指まで十分に圧迫を加えながらストレッチしていきます。
方法2
壁に指の腹を当てて、前に体重をかけて指を後ろに反らしてストレッチしていきます。
テニスボールや青竹踏みなどで土踏まずをマッサージするのも効果的です。
②アキレス腱・ふくらはぎストレッチ
足の裏はアキレス腱、ふくらはぎの筋肉と繋がっています。
写真のように伸ばしたい方の足を後ろに引き、つま先を真っ直ぐ前に向け、踵が離れないようにして体重を前にかけていきます。ふくらはぎが伸びている事を感じながら30秒以上ゆっくりと反動をつけずにストレッチしていきます。
③ハムストリングスストレッチ
足の裏から繋がっているハムストリングをストレッチします。
座った状態で膝を伸ばし、骨盤が倒れないようにして体を前傾させます。
筋力トレーニング
足底筋膜は衝撃を受けるクッションと推進力を作るバネの役割があります。これらの力を効率よく働かせるには足についている筋肉がしっかりと活動する事が大切です。特に足の指を曲げる筋肉や、土踏まず部分のアーチを形成する筋肉が重要となってきます。
①足趾筋群
足の指の運動です。足指をグーパーするように力を入れます。
握る時は指先だけ動かすのではなく、指の根本の部分からしっかりと握り込み、土踏まずを浮かせるようにして行うと効果的です。
伸ばす時はそれぞれの指を開くようにして行うと効果的です。
タオルを握ったりするのも良いでしょう。
②前脛骨筋
スネの前にある筋肉で主に背屈という足首を上に上げる動きに働きます。
足の指は曲げたまま、足首を上に反らしていきます。
ゴムバンドなどがあるとより効果的です。
③後脛骨筋
ふくらはぎにある筋肉で主に底屈という足首を下に向けるの動きと内反という内側に捻る動きに働きます。
立った状態でのつま先立ちで鍛える事ができます。
足の裏、踵の痛み!足底筋膜炎症状緩和のテーピング
テーピングは伸縮性のあるキネシオテープ、キネシオロジーテープと呼ばれるものを使用します。
方法1
①写真のように4つ切れ目を入れます。
②踵からそれぞれの指に向かってテーピングを張ります。皺が寄らない程度に引っ張りながらテーピングを貼ります。
方法2
①足の指の付け根にテーピングを貼ります。皺が寄らない程度に軽く引っ張ります。
②親指の根本から踵の外側を通って踵の後ろを通り、踵の内側を通ってクロスさせるように小指側にテーピングを貼ります。
③土踏まず部分を引き上げるようにして両端を引っ張りテーピングを貼ります。
まとめ
- 足底筋膜炎は足の裏にある筋膜の炎症であり、土踏まずや踵に痛みを生じる。
- 原因は過負荷や足の柔軟性低下、筋力低下が挙げられる。
- 予防にはストレッチ、筋力トレーニング、運動の環境設定が重要である。