膝の内側が痛い!鵞足炎の原因・症状・ストレッチ・テーピングなど徹底解説

歩いたり、階段を上り下りすると膝の内側が痛くなるその症状。スポーツをしている人にも多く見られる鵞足炎というその病態。

今回は膝の内側に痛みを引き起こす鵞足炎について徹底解説していきます。

鵞足炎の症状


ランニングやジャンプ、ステップ動作によって膝のお皿の下や内側に痛みが生じます。症状の悪化に伴い、階段の昇り降りや歩いていても痛みが生じるようになります。また患部に熱を持ったりや腫れを伴うことがあります。膝を完全に伸ばした際や、階段の昇り降り、またスポーツでは走ったり、ジャンプの着地やステップ動作などで痛みが生じます。

鵞足って何??鵞足とは??

鵞足とは膝の内側にある筋肉の付着部分の事を指します。膝の下にある脛骨に縫工筋、半腱様筋、薄筋という筋肉がくっついている部分がガチョウの足のような形をしているためにその名前が付けられたと言われています。

鵞足を形成する筋肉

①縫工筋

上前腸骨棘(骨盤の前にある骨の出っ張り部分)から脛骨の内側部についている筋肉です。人間の体でもっとも長い筋肉です。あぐらをかくような股関節を外側に曲げる、膝を曲げる、脛骨を内側に捻る動作に作用します。

②薄筋

骨盤の下の恥骨から脛骨の内側についている筋肉です。脚を内側に閉じる股関節の内転という動き、膝を曲げる動き、脛骨を内側に捻る動きに作用します。

③半腱様筋

骨盤の坐骨という骨から脛骨の内側についている筋肉です。太ももの後ろにある筋肉をハムストリングスといいますが、ハムストリングスの内側部分にあたる筋肉です。主に膝を曲げる作用、脚を後ろに伸ばす股関節の伸展という動きの、脛骨を内側に捻る動きに作用します。

鵞足の役割

鵞足は主にスポーツ動作などで膝が内側に入り、つま先が外側に向いている状態(ニーイン・トゥーアウト)の制動をする働きがあります。

例えば写真のように

支えている左脚の膝は内側に、つま先は外側に向いています。この状態のように膝が内側に過剰に行き過ぎないように膝を支えているのが鵞足の役割なのです。

鵞足炎はこのような動作の繰り返しによって、鵞足を形成する筋肉とその下に存在する滑液包という袋に摩擦ストレスがかかる事によって炎症が起きて発症します。

他にもマラソンやバスケットボール、バレーボールなどでも繰り返し鵞足へのストレスがかかる事によって発症します。

鵞足炎になる要素・原因

①過剰な負担・使い過ぎ(オーバーユース)

急にスポーツの練習量が増えたり、階段をたくさん昇り降りしたり、長く歩きすぎたりなど鵞足への過剰な負担が原因となり鵞足炎を発症する事があります。特にランニングを急に始めたり、新しい部活を始めたり、旅行で長く歩いたり階段を昇り降りしてきたという人が鵞足炎になるケースが多い印象があります。

また先ほどのようにスポーツ動作で膝が内側に入り、つま先が外に向くニーイントゥーアウトの動作を繰り返し行うストレスにて発症しやすくなります。

この場合は支えている右脚の膝が内側、つま先が外側に向いています。

②X脚

両脚を揃えて立った時に、膝はくっつくけど、くるぶしが離れてしまうような形状の足をX脚と呼びます。このX脚は膝が内側に入りやすく、結果的に鵞足にストレスがかかりやすくなります。

③回内足

写真のように後ろからみた時に踵の骨が内側に傾いているのを回外足、外側に傾いているのを回内足と呼びます。

回内足ではその上にある膝が内側に入りやすくなるため、鵞足へのストレスを強めてしまいます。土踏まずが潰れてしまっている偏平足も同じように鵞足へのストレスを強める原因となります。

④足首が硬い

つま先を上反らすように足首を動かす動作を、足関節の背屈といいます。この背屈の動きが硬いと、足に体重をかけた時に膝を内側に向けたり、つま先を外に向ける事で代償する事が多く見られます。

私が病院で診ている鵞足炎の患者さんの多くは足首の背屈が硬い人が多い印象があります。

鵞足炎の診断

鵞足炎はレントゲンでは異常はみられないため、正確な診断を受けるにはMRIが有用です。

膝の内側に痛みを起こす怪我として他に半月板損傷や内側側副靭帯損傷などもあるため判別するためにMRI検査をする事もあります。

鵞足炎判別テスト

薄筋のテスト

検査する方の足を外に開いた状態から、膝を伸ばします。これで内側に痛みが生じれば薄筋が原因での鵞足炎の可能性が高いです。

出典:運動機能障害のなぜ?がわかる評価戦略

半腱様筋のテスト

検査する方の足を上に挙げて少し内側に向けます。その状態から膝を伸ばして内側に痛みが生じれば半腱様筋が原因での鵞足炎の可能性が高くなります。

出典:運動機能障害のなぜ?がわかる評価戦略

縫工筋のテスト

横向きに寝て脚を後方に引き、下に降ろした位置から膝を伸ばします。これで内側に痛みが生じれば縫工筋が原因での鵞足炎の可能性が高いです。

出典:運動機能障害のなぜ?がわかる評価戦略

鵞足炎の治療法

①とにかく患部を安静にして炎症を抑える

鵞足炎はその名前の通り鵞足部分の炎症が起こっている状態です。炎症を抑える事が治療の大前提となります。

患部に熱感や腫れが生じている場合はアイシングで冷やすことも局所の炎症を抑える効果が期待できます。

②鎮痛治療

整形外科などでは痛み止めや湿布などを処方してもらったりして痛みを抑える治療を行います。

また患部を温める温熱療法を行います。温熱療法には血流を促進して、組織の回復を早めたり、筋肉の緊張を和らげる効果があります。

鵞足炎の予防とストレッチ・運動療法

鵞足を形成する筋肉の緊張が高まり硬くなる事も鵞足炎の原因の一つとなります。鵞足の筋肉のストレッチ方法を紹介していきます。

①縫工筋ストレッチ

うつ伏せに寝て、伸ばす方の足首を持ち、膝をを曲げます。

そのまま外側に開いていきます。太ももの前から内側の部分が伸びていることを感じながら30秒以上ストレッチします。

※別法

立ち膝を付き、伸ばしたい方を後方にして膝を曲げます。そこから足首を持ち外側に開いていきます。

②薄筋・ハムストリングスストレッチ

両脚を外に開きます。前に屈んでいき、太ももの内側が伸びていることを感じながら30秒以上ゆっくりストレッチします。

※別法

座った状態で伸ばしたい方の足を前・外側に置きます。その状態から背中が丸まらないように前に屈んでいきます。太ももの内側・裏側が伸びていることを感じながら30秒以上ゆっくりストレッチします。

③足部のトレーニング

ニーイントゥーアウトの動作や回内足が鵞足へのストレスを強めてしまうという事を先ほどお伝えしました。足が回内方向に向かないための筋肉のトレーニングが重要となります。

ゴムバンドを使用します。親指側にひっかけて、つま先が内側に向くようにゴムを繰り返し引っ張っていきます。足のアーチを支える後脛骨筋という筋肉のトレーニングです。

※別法

踵挙げの運動でも後脛骨筋を鍛える事が出来ます。

④股関節の筋力トレーニング

鵞足に負担がかかるニーイントゥーアウトを予防するには股関節にある中殿筋という筋肉を鍛える事が重要です。ゴムバンドを使用し立った状態で鍛える方の足を真横に挙げていきます。

上半身が傾かないで行いましょう。

※別法

鍛える方の足で片足支えて立ちます。

反対側の骨盤を真上へ引き上げるように持ち上げます。

中臀筋は足を横に挙げる働きと反対側の骨盤を引き上げる働きがあるためこの運動を行う事で鍛える事が出来ます。

鵞足炎のテーピング

テーピングには固定テープと伸縮性テープがありますが、伸縮性テープを使用します。

※写真は見栄え上タイツの上から貼っていますが、実際は皮膚に貼ってください。

①鵞足の筋肉の負担を軽減するテーピング

1、写真のような長さのテープを3本用意します。

2、剥がれにくいように四つ角をすべて丸く切ります。

3、膝を軽く曲げます。膝のお皿下のやや内側から太ももの内側を通って脚の付け根までテープを貼ります。この時テープは引っ張りすぎず、皺が寄らない程度に貼っていきます。

※イメージはこの筋肉の走行です。

4、膝のお皿下のやや内側から太ももの裏を通って臀部の下までテープを貼っていきます。引っ張り過ぎず皺が寄らない程度にテープを貼っていきます。

※イメージはこの筋肉の走行です。

5、膝のお皿の下やや内側から、骨盤の出っ張っている骨に沿ってテープを貼っていきます。この時テープは引っ張りすぎず、皺が寄らない程度に貼っていきます。

※イメージはこの筋肉の走行です。

6、完成

②ニーインを補正するテーピング

1、膝を90°に曲げてつま先はやや内側に向けます。

2、膝のお皿下の骨の突出部分から内側に向かって斜め上に貼っていきます。そのまま膝の裏を膝のお皿の数センチが上終着点です。

テープは少し引っ張りながら貼ってっください。

まとめ

  • 鵞足炎とは鵞足を形成する筋肉がこすれる摩擦によって炎症が起こっている状態である。
  • オーバーユース・X脚・回内足・膝が内側に入るニーイントゥーアウトなどが原因で起こりやすい。
  • 予防には鵞足のストレッチ、股関節、足首の筋力強化が効果的である。