ジャンパー膝の原因、治し方、サポーター、テーピングなど徹底解説!

バスケットボールやバレーボールなどのジャンプ動作や、サッカー、陸上などのランニング動作によって生じる膝の痛み。特に膝のお皿の真下や真上に生じる痛みはジャンパー膝(膝蓋靭帯炎)と呼ばれる病態かもしれません。今回はジャンパー膝について徹底解説していきます。

ジャンパー膝(膝蓋靭帯炎)とは?

ジャンプ動作の多い動作やランニング動作によって膝のお皿周囲の靭帯または腱にストレスがかかり痛みが生じる病態です。

正式には膝蓋靭帯炎、または膝蓋腱炎と呼ばれます。

その名の通りジャンプ動作の多い競技選手に多く見られますが、ランニング動作が多いスポーツにも多く見られます。

特にバスケットボール、バレーボール、サッカー、陸上競技などの選手に多く見られます。10歳代後半に多く、男女比は3:2から3:1で男性に多く見られます。

ジャンパー膝(膝蓋靭帯炎)の病態・原因

太ももの前にある筋肉を大腿四頭筋と呼びます。

大腿四頭筋は太ももの前から膝のお皿である膝蓋骨(しつがいこつ)を通り、膝蓋靭帯(しつがいじんたい)、または膝蓋腱(しつがいけん)となって脛骨に付着します。

ジャンプなどで膝を曲げて体重がかかる際は、この大腿四頭筋がゴムのように伸び縮みをします。その際に膝のお皿周囲には強く引っ張られるストレスがかかります。その繰り返しによって膝蓋靭帯や大腿四頭筋腱に細かい損傷が起きて痛みが生じるのがジャンパー膝の病態・原因です。特に大腿四頭筋が硬いとその伸び縮みによって引っ張られるストレスが強くかかるためジャンパー膝になりやすい原因となります。

ジャンパー膝(膝蓋靭帯炎)の症状

ジャンパー膝の症状は膝のお皿の真下部分、お皿の上部に痛みが生じます。特にスポーツで膝を曲げ伸ばしや、ジャンプ、ランニング、ダッシュ動作時に痛みが生じます。

初期では運動後に痛みが生じますが、進行とともに運動中にも痛みが出るようになり、スポーツに支障をきたします。以下にジャンパー膝の症状の進行度を示した病期分類を示します。

病期分類
Ⅰ度
運動後に痛みが生じるが運動には支障がない。
Ⅱ度
運動前後の痛みはあるが運動中は軽快し、運動は継続可能。
Ⅲ度
運動中に痛みが生じる、運動に支障あり。
Ⅳ度
膝蓋靭帯の完全断裂。

ジャンパー膝(膝蓋靭帯炎)の痛みの出る部位

ジャンパー膝で痛みの出る部位は

  1. 膝蓋靭帯のお皿の真下部分が70%
  2. お皿真上から大腿四頭筋腱の部分が20%
  3. 膝蓋靭帯の脛骨粗面付着部が10%

とされています。

※症状がオスグッド病と非常に類似しているため病院で判別診断を受ける事をオススメします。

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ジャンパー膝(膝蓋靭帯炎)の原因

①オーバーユース

ジャンプやダッシュ、ランニング動作の過剰な負担、オーバーユースによって大腿四頭筋がくり返し引っ張られることでジャンパー膝が発症しやすくなります。このオーバーユースが一番の原因となります。

②大腿四頭筋の柔軟性低下

ジャンパー膝の患部となる膝蓋靭帯は大腿四頭筋から繋がってきています。その大腿四頭筋の柔軟性が低下して硬くなっているとより強い力で引っ張られるため損傷をきたしやすくなります。

※大腿四頭筋の柔軟性テスト

出典:運動機能障害のなぜ?がわかる評価戦略

写真のように膝を曲げた際に、踵とお尻との距離が離れていたり、お尻が浮き上がってくると大腿四頭筋の柔軟性低下が疑われます。このテストはエリーテストと呼ばれています。

大腿四頭筋をゴムだとしてイメージしてみて下さい。

このゴムが硬いものであればあるほど曲げる際に強い力を強いられるかと思います。

③膝を曲げる動作の際に重心が後方にある

上の写真の膝を曲げる動作では骨盤が後ろに倒れており、重心は後方にあります。このような動作では後ろに倒れやすくなりますが、倒れないように大腿四頭筋が過剰に働くことで姿勢を維持しようとします。そのため大腿四頭筋のオーバーユースにつながり、ジャンパー膝の原因となります。

この膝を曲げる動作では骨盤が起きており重心が前方にあります。この動作では先ほどの後方に重心がある動作と比べて大腿四頭筋への負担がかからないため、ジャンパー膝になりにくい膝を曲げる動作となります。

ジャンパー膝(膝蓋靭帯炎)の治し方

ほとんどは保存療法で治癒しますが、膝蓋靭帯の部分断裂や変性をきたすと難治性となります。また大腿四頭筋腱の付着部は自己修復能力が低いため症状が悪化する前にしっかりと治すことが大切です。

保存療法

①スポーツは休止して患部を安静に

ジャンパー膝の原因は運動によるオーバーユースのため患部への負担を減らして安静にする事が大切です。痛みをこらえて繰り返しストレスをかけると慢性化、重症化する可能性が高くスポーツ継続に大きな影響を及ぼします。

②患部のアイシングを

痛めて間もない時期や、患部に熱感があっとり、腫れがある場合は氷などを用いて患部をアイシングします。冷やす事で痛みの軽減、腫れや熱感を抑える効果が期待できます。

重度の場合は手術する事も⁈

稀ですが重度の場合では膝蓋腱の変性した部分の切除などの手術を行う場合もあります。

ジャンパー膝(膝蓋靭帯炎)の予防法・ストレッチ・筋トレ

ジャンパー膝になりやすい人の特徴として以下の事が挙げられます

●大腿四頭筋が硬い

●スクワット動作が後方重心(以下はその後方重心になる要因です)

  •  足首が硬い
  •  ハムストリングスが硬い
  •  お尻の筋肉が硬い
  •  骨盤が後ろに倒れている
  •  猫背姿勢

これらを改善するためのストレッチ・筋トレ方法をお伝えします。

大腿四頭筋のストレッチ

痛みが強い時やお皿から周りに強い痛みが生じる場合は無理に行わないようにしましょう。

伸ばす方の足首を持ち踵とお尻をくっつけます。太ももの前面が伸びている事を感じながら30秒以上ストレッチします。

横向に寝て足首を持ちます。踵とお尻をくっつけるようにして太ももの前面が伸びている事を感じながら30秒以上ストレッチします。反対側の膝を曲げておくのがポイントです。

足首のストレッチ

伸ばす方の足を後方に引いて踵が浮かないようにし、前に体重をかけていきます。ふくらはぎが伸びている事を感じながら30秒以上ストレッチします。

ハムストリングス(太もも裏)ストレッチ

※ハムストリングスが硬いと骨盤が後ろに倒れやすくなるため後方重心のスクワット動作となりやすくなります。

伸ばす方の足を前に出して軽く膝を曲げます。胸を張ったまま体を前傾させて、ハムストリングスを伸ばします。太もも裏が伸びている事を感じながら30秒以上ストレッチします。

背中が丸まったり、骨盤が倒れていると効果がありません

臀部のストレッチ

臀部の筋肉が硬くても骨盤が後方に倒れやすくなり、後方重心のスクワットとなりやすくなります。

伸ばす方の足を上に組んで胸を張って体を前傾させていきます。臀部が伸びている事を感じながら30秒以上ストレッチします。

胸椎ストレッチ(猫背の改善)

猫背姿勢となると重心が後方になり、スクワット動作にて膝への負担を強めてしまいます。

椅子に座り頭の後ろで手を組みます。大きく息を吸って胸を張り、顎を引いたまま肘を後ろに引きます。背中が伸びている事を感じながら30秒以上ストレッチします。

腸腰筋筋トレ

写真のように骨盤から太ももの骨についている筋肉を腸骨筋、背骨から太ももの骨についている筋肉を大腰筋といいます。これらを合わせて腸腰筋と呼び、骨盤を前傾させる作用があります。これらを鍛える事によって骨盤を起こし、後方重心のスクワットを改善する事が大切です。

椅子に座り、背中が倒れたり、骨盤が倒れたりしないように脚を上に挙げ静止します。くり返し行う事によって腸腰筋を鍛える事が出来ます。

スクワット動作の学習

悪い例

骨盤が後ろに倒れており、重心が後方にあり、大腿四頭筋への過剰なストレスがかかっているスクワット。

良い例

重心が前方にあり、骨盤がしっかりと起きており、股関節、足首も曲がっており大腿四頭筋へのストレスが少ないスクワット動作。

ジャンパー膝のサポーター

ジャンパー膝の痛みのはサポーターを着用する事も有効です。

サポーターは膝蓋靭帯のストレスを軽減さえるようなお皿の下に巻くタイプのものが有効です。

普段整形外科クリニックで働いていますが、膝が痛いといわれる方が多く来院します。 部活やスポーツで痛めた方もいれば、加齢による変形が原因とい...

ジャンパー膝(膝蓋靭帯炎)のテーピング

ジャンパー膝の症状を和らげるテーピングをお伝えします。あくまでテーピングは症状を和らげる、予防するといった効果が得られやすいですが、痛み自体が完全になくなるわけではありません。

テーピングは伸び縮みするキネシオテープ、またはキネシオロジーテープと呼ばれる伸縮用テープを使用します。

※見栄え上タイツの上から貼っていますが実際は直接肌に貼ります。

①膝のお皿下から太もも付け根くらいの長さのテーピングを3本用意します。剥がれにくいように四つ角は丸く切っておきます。

1枚は下10cm程度切れ目を入れます。

②膝のお皿下の骨の突出部分からテーピングを貼っていきます。お皿を囲むようにして太ももまで貼り、テープに皺が寄らない程度に貼っていきます。

③反対側からも同じようにして貼っていきます。

④下に切れ目を入れたテープを太ももの付け根からお皿に向かってテープを貼ります。お皿を囲むように切れ目を入れた部分を外から貼って完成です。

まとめ

私の治療の経験上、体の硬い中学生に多くみられるスポーツ障害です。よく話を聞くと練習前のストレッチやウォーミングアップを十分にやっていない人に発症しやすい印象があります。ジャンパー膝は使い過ぎによるオーバーユースなので診断されたらまずは休息する事が大切です。

人によって体の特性は違ってきますが、大腿四頭筋の硬さ、後方重心のスクワット動作である事が多いです。理学療法士やトレーナーなどに自身の体のチェックをしてもらい、何が膝への負担を強めているのかを知り、それを根本から改善する事が治療のキーとなります。